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いまどきモスクワ外食事情-その5 [ロシア文化]

帰国してからもう2ケ月もたってしまいましたが、モスクワの外食事情未完なので遅ればせながら最後にもうひとつご報告です。(その6とその5が順序入れ替わってすみません。今回最後のが日時の順番では5になります。)

滞在中ベルニサージュに買い物に行った際、5月なのにとてもとても寒い日で春の服装で行った私たちは午前中の買い物だけで凍えてふるえあがりました。そこで、4年前の夏にグループ一行でアクローシカ(冷たいクワスのスープ)を食べた思い出のある近くのロシアレストランに駆け込みました。丸太小屋風のロシア民芸品がマッチする静かなレストランです。

まずは、熱いボルシチとペリメニ(ロシアの水餃子)、ブリヌイ(ロシアのクレープ)をとり、ウォッカIzmajlovo-briny.jpgをあおって温まってきたとき、カウンターになにやら面白そうなものが入ったビンがたくさん並んでいるのが目に付きました。「これは何ですか?」と民族衣装のきれいなお嬢さんにきいたら、自家製のナストイカ(浸酒)だといいます。

「それでは、それを少しづついくつか試飲したいのだけど・・・」と頼むと、ほんとは50mlづつショットグラスになみなに注いでだすのだけど、特別に半分ずつ2杯で1杯分としましょう、といってくれました。                              

Izmajlovo-nastojka.jpgナストイカ(浸酒)の主な漬け材は

左から セイヨウワサビ、 唐辛子、 レモン、(4番目は聞き漏らしました、すみません)、ヒッポフェア属(グミ科)、クロフサスグリ、アカフサスグリ、クルミ

唐辛子入りは我が社の商品ペルツォフカとはだいぶ違って、ピリカラよりニンニクの香りを強く感じました。でも冷えた体を温めてくれそうで、ペルツォフカのキャッチフレーズとおりまさしく風邪の薬になるでしょう。色は少し黄みをおびた透明です。ヒッポフェアの浸酒は、どろっとしたうすい黄色でハーブと蜂蜜の香りがしました。これも元気が出そうな薬用酒のようですが、けっこうおいしい飲み物です。アルコールが強いのでパンチもあります。

 interior.jpgborsht&nastojka.jpgボルシチの向こうに見えるのが私が試飲したいくつかのナストイカです。ちょっとジュースみたいですね。

その右横にたっている脚つきグラスは普通のピュアウォッカです。思えば昼間から強い酒をずいぶん飲んだものです。

 そもそもウォッカの国ロシアにはピュアウォッカのほかにこのようにウォッカに何かを浸した浸酒の文化も並んで発展しました。もともとは家庭でつくっていたものでしょうががそれが発展して産業となりひとつの酒類カテゴリーになりました。そして今でも日本の梅酒と同じように、産業とは別に各家庭でウォッカにいろいろな果物や野菜やハーブなどを漬けて愉しんでいるようです。ここのお店ではそれを希望するお客さんにも出してくれるわけです。漬け込むものがあまりいろいろあって、おしえてもらっても覚えられません。上記はお店でロシア語をおしえてもらって、帰国してから辞書でしらべていちおう日本語にしたのですが、専門用語として正しいかどうか不明なので、その点ご勘弁ください。しかしながらロシアにはダーチャ(セカンドハウス)の文化があります。多くの人々は休日をダーチャで過ごし、周辺の自然界からきのこやハーブを採ったり、自分の庭に野菜などを植えてうまく食事にとりいれています。その収穫の一部をウォッカに漬け込んでそれぞれの家庭の浸酒を愉しんでいるので、このような私たちには珍しい植物にもなじみが深いらしいのです。

ところで、私の会社が輸入しているロシアのオールドウォッカスタルカやペルツォフカ、リモンナヤ、クバンスカヤは日本の酒税法カテゴリーではスピリッツ類のウォッカとしかいいようがないのでウォッカと呼んでいますが、実は現地ロシアではこれらはウォッカではなくНастойка горькая(ナストイカ ゴリカヤ、Bitter、苦味酒)といわれているものです。これらも浸酒の一種ですが、甘みをつけていなのでBitterという言葉が入っているのでしょう。ともあれベースはほとんどウォッカでかすかに漬けた材料の香りや色がついているだけなので、日本ではカラーウォッカ、フレーバーウォッカとも呼ばれています。ちなみに日本の関税法ではスタルカだけが混成酒とされ、その他の3つは関税法でもウォッカです。

                                                                   ヴォードチカ店長

 

 

 


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