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クバンスカヤとコサック兵 [ウォッカ談義]

9月に新発売したウォッカのひとつ”クバンスカヤ”の名称はロシアの地名クバン地方からきています。クバン地方は南ロシアのクラスノダール地方クバン川の流域にあり、風光明媚で肥沃な土地にめぐまれ、ウォッカの原料である小麦畑の広大さは感動的です。必然的に土地のコサック兵たちはその良質な小麦をつかってすばらしいウォッカをつくりました。

Kubanskaya-CDC-small.jpgそれがこの”クバンスカヤ”のもとになっています。現在の”クバンスカヤ”も当時のコサック製法にしたがって作られています。ボトル前面のラベルにある画像もクバン地方のコサック兵をイメージしています。

それではそもそも「コサック兵」とはどんな人々でしょうか?

歴史をさかのぼると長くて複雑なので簡単にまとめてみましょう。

15世紀後半にウクライナ中南部で発祥し、ドニプロ川中流を中心とするザポロージャ地方に根拠地を築いたそうです。私はつい数日前に渋谷のBunkamuraで開催されていた「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」で「トルコのスルタンに手紙を書くザポロージャのコサック」を鑑賞したばかりですが、その絵だけでコサック兵の精神がだいたいわかるような気がしました。手紙を書いている一人の男を屈強な男たちが抱腹絶倒の様子で囲んでいます。これは、コサック兵たちがトルコのスルタン、メフメト4世から「降伏してトルコの臣民になるように」と勧告されたことに対し、極めて辛辣で嘲笑をこめた返事を書いているところだそうです。彼らの表情、しぐさの中にコサックの感性、ユーモア、自由を愛する精神が感じ取られます。この絵のことは「文芸春秋」先月号の口絵でも解説つきで紹介されていて、それを見て以来私も早く「レーピン展」に行きたいと思っていました。

コサックは国に帰属したり、反発したり、複雑な歴史をたどってきましたが、ざっくりとまとめればその土地土地で農耕生活を送りながら、税金免除の代わりに有事にはコサック軍団となって国境防備や治安維持に活躍してきた人々です。発祥し、活躍した土地ごとにザポロージャ・コサック、ドン・コサックのように名前がつけられました。その中でクバーニ・コサックはカフカズ戦争、ロシア・トルコ戦争で大きな役割を果たしました。日露戦争でも活躍したそうです。

コサックダンスにもみられるようにロシアの文化に大きな影響を与えながら発展してきましたが、ソ連時代に冷遇され過酷な運命をたどり滅亡にいたりました。しかしソ連崩壊後、ふたたび復帰運動もおこっています。やはりロシア、ウクライナの歴史のなかで大きな存在だったのだと思います。

コサックが生んだウォッカ”クバンスカヤ”は、「ロシアの秘蔵酒」とたたえれれてきました。

ソ連時代には東京新橋の「ベリョースカ白樺店」、専門商社「ソユーズ」などが日本に輸入してウォッカ市場の小さい日本でもかなりひろまっていた人気のウォッカでした。当時は「普通のウォッカに厭きたピョートル大帝がクバン地方から毎日馬で運ばせた」というエピソードも伝えられ、高級でユニークなウォッカとして特にウォッカ通の皆さんに愛飲されていました。私、ヴォードチカ店長もその一人です。

長い間輸入が途絶えていましたが、9月からようやく当ヴォードチカより発売されています。冷凍庫でキンキンに冷やしてストレートでクイっとやって、「ロシアの秘蔵酒」といわれるわけをさぐってください。

                                                           ヴォードチカ店長


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